このアニメも当初は物凄くなめた目で見ていました。
タイトルからなんとなく予想できるように、この作品もジャンルとしては
「セーラームーン」みたいな変身ヒロインものなのですが、これがまたベタ過ぎるんですよ。
なにしろ、主人公である、ごく普通の女の子、
森谷りりかは、
ある日、謎の転校生、
加納望に
「君こそ探していた伝説のナースエンジェルなんだ!」と言われて、「ああ、そうなんですか」とあっさり納得し、悪と戦うことになるのですから。
しかも、聞けば、
加納望は実は地球人ではなく、地球そっくりな星、
クイーンアースの戦士であり、本名は
カノン。
そして、その
クイーンアースは邪悪な
ダークジョーカーの侵略によって今まさに滅亡の
危機に瀕しており、その矛先は地球にも向けられたそうではありませんか。
もう、あまりにベタ過ぎる上にツッコミどころ満載です。
カノンだから
加納だなんて、なんですか、このダジャレは。
キータクラーが
北倉先生というのと同レベルではありませんか。
異星人とか異次元人の間には、なんかこういう決まりごとでもあるのでしょうか?
そして、敵の組織名が
ダークジョーカーというのも激しく失笑してしまいます。
ダークジョーカーって………。
ベタ過ぎるっつーか、陳腐すぎるネーミングつーか、あの時の衝(笑)撃は今でもよく
覚えており、未だに思い出し笑いをする程です。
とまあこんな訳で、りりかはダークジョーカーとの過酷な戦いの日々を送ることに
なるわけですが、やはりストーリーにおいてもバトルにおいても、従来の変身ヒロイン物
と比べても目新しい要素はなく、ベタな展開を重ねていくのでした。
そう、全体的な流れからすれば………。
しかしながら、当初こそなめた目で観ていたものの、感動的なシーンも2つほど
ありました。
その1つは、りりかが敵であるデューイを助けたことです。
このデューイという男。
ダークジョーカーの首領であるブロスの側近中の側近なのですが、
(と言っても、ブロスの部下自体、このデューイとケトーの2人しかいない)
こいつがまたとんでもない大悪党でして……。
と、「遠山の金さん」の悪党みたいな言い方をしてしまいましたが、
ともかく、りりかとの戦いで瀕死の重傷を負った上、ブロスにも見捨てられ、
失意のどん底に叩き落されます。
しかし、そんな彼を、りりかは残り僅かな「緑のワクチン」を使って助けるのです。
そして、これがきっかけで、デューイはりりか達の味方になるわけですが、さすがに
こればかりはベタだとは思えませんでしたし、それどころか感動すら覚えました。
なぜなら、このように敵が味方になるというケースはよくありがちではあるものの、
このような場合、大抵、当初は「貴様を倒すのこのオレだ!」
とか、「おまえには借りがあるんでな」みたいなノリで、それが次第に心通わせるように
なり、気付けば何時の間にやら本当の戦友になっていたりするものなのです。
この場合のケースも後者にあたるのですが、やはりそれまでのデューイの極悪非道な
振る舞いがあったからこそ、そんな彼を救うりりかの優しさ際立っていて、
素直に感動することが出来たと思います。
こうして、デューイは徐々にりりかに心惹かれていくのですが、
彼は決してりりかのことを「りりか」と呼ぶことはありません。
戦いの時も私生活の時も、りりかを呼ぶ時は常に「ナースエンジェル」。
りりかもこれに抵抗を感じ、「私の名は森谷りりか。りりかって呼んでくれると嬉しいな」
と促しますが、硬派なデューイは中々「りりか」とは呼べません。
しかし、これが最終回になると事態は一変します。
りりかを待ち受ける過酷な運命。
そんなりりかを目の前にして、ついにデューイは叫ぶのです。
デューイ:「りりか!森谷りりか!」
りりか:「あっ。デューイがりりかって呼んでくれた」
デューイ:「何度でも呼んでやる。りりか。ボクがダークジョーカーをやめられたのは
緑のワクチンのせいだけじゃない。おまえがいたからだ。
りりか!おまえがいたからだ!」
このシーンに私は思わずウルッと来ました。
しかし、りりかの次の言葉がこの感動を台無しにしやがったのです。
デューイが必死に自分の胸のうちをさらけ出していると言うのに、
りりかときたら、「聖なる願い…」(ナースエンジェルに変身する時に唱える詠唱)
と、変身を開始するのです。
って、シカトかよ!
デューイが仲間になって11話もの時を経て、最後の最後でようやく「りりか」と
呼んだと言うのに、シカト。
しかも、ラストは「えっ、これで終わりなの?」と言った感じで締められたものだから、
先程の感動も見事に打ち砕かれてしまいました。
おまけに、DVDにおいても、後日談とか一切描かれてないものだから、
未だに「結局あれはどういうことだったんだろう?」と、モヤモヤ感がぬぐえません。
総括すると、この作品はベタではあるものの、敵キャラのデューイが非常に丁寧に
描かれており、特筆に価します。
しかし、ラストがなんとも尻切れトンボ気味であり、上手く締められなかったばかりか、
その後のエピソードも描かれなかったのが悔やまれます。
ミュージカル化までされたんだから、願わくば、あの後どうなったのか?
今更だけど、後日談をOVAにでもしてくれないかなあ~と思う今日この頃です。
ハイライト
ナースエンジェルの必殺技
怒り狂うブロス様
人前で恥ずかし気もなく「ナースエンジェル」と呼ぶデューイ
オーラが出てます。ひょっとして無我の境地?
ばーさんがタイガーショット打ってるよ。
口を開けば男のことばっか。
りりかのお友達、花林ちゃん。
末恐ろしい子。
とまあ、「ナースエンジェルりりかSOS」とはこんな作品です。
一度ご覧になられてはいかがでしょうか。
ブログランキングranQ
最近のコメント