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2006年12月23日 (土)

将太の寿司

将太の寿司 (1)
将太の寿司 (1) 寺沢 大介

講談社 2002-04
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 この作品もかなり有名なので、今更説明の必要はないことかと思います。
ただ、未だに勘違いされている方もいらっしゃるようなので、
一言だけ断っておきますが、この作品は紛れもなくギャグ漫画です。

 よく、この作品は泣けるだの、人情味に溢れているなど耳にしますが、
実際にこの作品で泣いた人など、私の知る限りでは、
関根勤氏くらいしかいません(笑)。

 それよりもむしろ、この作品の醍醐味と言うのは、
そんじゃそこらのバトル漫画なら、裸足で逃げ出す程の
凄まじいインフレではないでしょうか?

 それはすなわち、主人公の将太が、寿司職人として修行を重ね、
ライバル達と競い合っていく中で、次々に美味い寿司をつくり出していき、
最終的には、誰の寿司がどれくらい美味いのか?
さっぱり分からなくなってしまうところにあるのです。

 それはまさに、寿司のドラゴンボール(なんのこっちゃ)。
特に、新人寿司職人コンクール編に突入してからは、
この現象が顕著に表れてきます。

 審査員である、寿司協会のお偉いさん達は、なぜかべた褒めするし、
審査委員長である「柏手の安」(美味いものを食ったら、思わず拍手することから
そう呼ばれている)に至っては、余程の美味さでなければ拍手なんかしないはず
なのに、「うまい!これはもう、至福の体験だ!」
とかのたまい、拍手を連発するものだから、
おめぇはどんだけしょぼい食生活を送ってんだよ!
と言いたくなります。

 寿司協会のお偉いさんなら、もっと熟練の寿司職人が作った寿司を
今までに死ぬほど食ってきたでしょーに。
それを、たかだか、駆け出しでぺーぺーのひよっこ寿司職人が作った寿司を、
拍手しながら、アホみたいにホメまくる、このおっさんは
はっきり言ってアホなんじゃないか?とすら思えます。

 しかし、これほどまでに大げさに盛り上げておいて、
その後、恐るべき事実が告げられるのです。

       今までのは地区予選です。この後に全国大会があるよ。

 さすがに、当初この展開を目の当たりにした時、私は唖然となりました。
あれだけ仰々しく盛り上げておいてですよ、
寿司協会のお偉いさんが、拍手を連発する程にハイレベルなバトルを
繰り広げてですよ、しかも優勝賞品は、人間国宝が作った包丁セットという、
贅沢極まりないものだったというのにですよ、
それがあーた、地区予選だったと言うではありませんか!

 信じられますか、奥さん?
いや、私も実は冗談で言ってたんですよ。
「こんだけ盛り上げておいて、後で全国大会とかがあったら笑えるな」
と。

 ………すんません。全然笑えなかったっす。
と言うよりむしろ、その時は怒りがこみ上げてきましたね。
普通なら、「やった~オレの予想が当たった~」と喜ぶところなのですが、
その時ばかりは、まったくそんな気にはなれませんでした。

 しかし、いざ新人寿司職人コンクール全国大会編が始まると、
これがまた今まで以上に、ツッコミどころが目白押しで面白いんですよ。

 特に、ライバル達がこれまた個性溢れる面々であり、
将太の商売敵である笹寿司が誇る「四包丁」だとか、
幻の寿司職人、大念寺だとか、神の手を持つアキラだとか、
将太の兄弟子にして最大のライバルである、絶対味覚の佐治安人だとか、
それはもう、ハッタリの利いた連中ばっかりで、
色々な意味で楽しめました。

 こうなると当然、将太もこれまで以上に創意・工夫を重ねた寿司を作ることに
なるのですが、前述したように、ここまで来るともはや誰の作った寿司が
どの程度美味いのか?
さっぱり分からないんですね。

 おまけに、ここまでインフレが加速したものだから、
恐ろしいことに、今度はデフレになってしまうんですよ。

 これだけハイレベルな勝負を繰り広げ、極限までに創意・工夫を凝らした寿司を
作ってきておきながら、将太は親方の寿司を食って、信じられないことを言うのです。

        基本だ!!!基本の出来がまるで違うんだ!!!

 じゃあ、普通に寿司つくれや!
なんなんでしょう、これは。
あれだけ、さも、メチャメチャ美味そうな寿司を作ってきておきながら、
その実、親方が普通に握って普通に作った寿司にすら及びもしなければ、
しかも、その親方は老いのためか、全盛期の頃よりも腕が落ちているという有様。

 ホンマええ加減にして欲しいものです。
加えて、決勝戦における審査員達のリアクションにおいても、
ただガツガツと食い続けた挙句、「言葉は無い!!!ただ…うまかった!!!」
の一言で済ませるといった手抜き……いや、デフレ振り。
そして、それ以前にも、寿司協会の大御所であり会長でもある岩崎翁
こう言っています。

     真の美味なるものに出会えば 人はただ沈黙あるのみじゃ

 だったら、今までの「柏手の安」の拍手や、
アホみたいなリアクションは嘘だったんかい!
ホンマええ加減にして欲しいものです。

 このように、振り返ってみると、この作品は前述したように、
テーマこそ寿司であるものの、やってることはドラゴンボールと大差ないのでは?
と思えると同時に、それでもやっぱり人は、なんだかんだ言ってもドラゴンボールを
好むものなんだなあと思えました。

 まあ、よくよく考えると、『中華一番』とか『焼きたて!!ジャぱん』とかも
一応料理漫画ではあるものの、明らかにドラゴンボール的なバトル要素がある
のを鑑みるに、料理とバトルは相性が極めていいのかもしれません。

 しかし、真に凄いのは、最初にこの事実に気付き、
『ミスター味っ子』を世に送り出すことで、料理バトルという概念を打ち出した、
この作品の作者である、寺沢大介先生でしょう。

 もっとも、最近の先生の作品はちょっとパンチが弱いかなあと思えるし、
最近の料理漫画というもの自体が、料理バトルと言うよりも、食した後の
リアクション芸に重点を置いているような気がするので、
寺沢先生にはぜひ、料理バトル漫画の開祖として、料理バトルの真髄を
これからも示し続けて欲しいと願う、今日この頃です。

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 徒然コメント

当時はよく「柏手の安」の真似をして、回転寿司で寿司を食っては、
やたら拍手を連発しておりました。
「うまい!これはもう!至福の体験だ!」とか言って。
まあ、誰しも経験されたことかとは思いますが……。

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