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2008年12月28日 (日)

聖闘士星矢

 今更この作品について説明することもないでしょう。
日本はおろか世界中でも大ヒットし、また連載が終わって10年以上経った今になっても
『エピソードG』、『LOST CANVAS 冥王神話』、『NEXT DIMENSION 冥王神話』
などが連載され、また原作『冥王ハーデス編』のOVA化、原作『冥王ハーデス編』以降
を描いた『天界編』がアニメ映画化されたりと、その勢いは留まるところを知りません。

 しかし………
今でこそ華やかに見えるこの作品ですが、原作単体で言うならば、
それは明らかに失敗に終わった、悲劇の作品でもあったのです。

 こう言うと、熱狂的なファンの方々は快く思わないかもしれません。
しかし、これは紛うことなき事実なのです。
なぜならば、最終的に打ち切られてしまっているのですから。
なんだかんだ言っても、この事実を否定することは出来ません。
それに、私はリアルタイムでこの作品を読んでましたから、人気絶頂の時も知ってるし
また、衰退していく様もこの目でしかと見届けてきました。
特にハーデス編の中盤辺りでは、私の身の周りにおいても、確実に読者離れが
起きていたし、友人の中にも見限る者がチラホラと現れ始めていたのです。
そしてそれ以後は、掲載位置もどんどん下がり、最終的に前述したように「打ち切り」
という結果に終わってしまったのですから、これはもう失敗というほかありません。
いささか冷たい言い方ですが、何度も言うようにこれは事実なのです。
それを嘘だとは言わせない!
言わせてなるものかっ!!!

 ……まあ…そんなわけで、私もこの結末はいささか不満でした。
そして疑問に思いました。
なぜこのようなことになってしまったのか?
どこで道を誤ったのか?
私にとって、その答えはすぐに出ました。
『ポセイドン編』。
これこそが全ての元凶だったのです。

          ※ ネタバレを多分に含みますので、ご注意下さい

 なんだかんだ言って、この作品が一番輝いていた時期。
それは後に「サガの乱」と言われる『十二宮編』でした。
黄金聖闘士の圧倒的な強さを描きつつも、それぞれのキャラも十二分に立たせ、
そして肝心のバトルもどれもこれもがまさに名勝負。
凡庸な内容など1つたりともありませんでした。
そしてクライマックスにもなると、聖闘士が本来戦うべきである巨大な敵の存在が
ほのめかされたし、生き残った黄金聖闘士が仲間になったことで、
あんなに強かった黄金聖闘士が今度は仲間として戦うことになるんだから、
どんなすげえバトルが待っているんだろう?
と、次のシリーズに多大な期待を寄せたものでした。

 しかし、これがいざ蓋を開けると、もうドッチラケもいいとこ。
海皇ポセイドンの覚醒、海将軍であるセイレーンのソレントの急襲。
そして、ソレント対アルデバランの壮絶な戦い。
ここまでは良かったんですよ。
この戦いでアルデバランは敗北を喫したものの、黄金聖闘士の面目は保てたし、
それでいて海将軍が黄金聖闘士に勝るとも劣らない恐るべき強さをもった敵である
ことも十分に伝わりました。
こんな闘いが繰り広げられるならば大歓迎です。
今後も、ムウが、アイオリアが、シャカが、ミロが、ソレント対アルデバランのような
壮絶なバトルを繰り広げてくれるのだろう。
それに、ひょっとしたら老師も戦うのかもしれないぞ。
それにアテナだって………
私はそんなことを考えては、胸を躍らせていました。

 ところが………
現実はそう甘くはありませんでした。
その後私が見たもの、それは………。
相変わらず星矢達、青銅聖闘士4人と神出鬼没な男1人が繰り広げる、
ワンパターンで凡庸で眠たくなるようなバトルであり、私が多大なる期待を寄せていた
黄金聖闘士はお留守番。
アテナに至っては前回同様、「早く助けに来て~」状態。
さすがの私も、この眠たい展開には激しい憤りを感じずにはいられませんでした。
おまえらの戦い振りはもう見飽きたんじゃ~ボケェ!
さっさと黄金聖闘士達の戦いを見せろ!

 しかし、その願いはついに叶うことはなく、それが実現したのは、
およそ1年後の次のシリーズ『ハーデス編』においてでした。

 そして肝心のハーデス編。
結論から言うと、序盤は大変面白かったと思います。
サガの乱で死んだ黄金聖闘士達と生き残った黄金聖闘士の熾烈なバトル。
前教皇シオンVS老師の因縁のバトル。
そしてサガ達の影に潜み、忍び込んだ冥闘士達とのバトル。
序盤からスリリングでハイテンションでバトル尽くしの展開。
そうです、これこそが私の待ち望んだ展開だったのです。

 しかし、それもそう長くは続きませんでした。
それもこれも、バトルマンガにありがちなインフレの加速。
そしてそれに伴うパワーバランスの崩壊が全ての元凶だったように思います。
と言うのも、せっかく「十二宮編」で保たれていた黄金聖闘士の面目とパワーバランス
がこの戦いで一気に崩れ去ってしまったからです。
デスマスクはノリP語を話すわ、星矢にボコられるわ、アフロディーテと2人がかりで
ムウに負けるわ、ラダマンティスから逃げ出すわで、目も当てられませんでした。
おまけに、サガ、シュラ、カミュの3人も3人がかりでシャカ相手に大苦戦するわで、
それまで言われていた
「黄金聖闘士同士が戦ったら千日戦争になっても決着がつかないかもしくは互いに
消滅するかのどちらかだ」
というのはなんだったのか?
と、憤りをも感じさせられました。

 確かに、「十二宮編」においても、サガとシャカは他の黄金聖闘士に比べて
一歩抜きん出てるなというところはありましたが、それでも前述した概念があった為に
一応は誰と誰が戦おうとも、それなりに互角以上の戦いは出来るのだろうと思わせら
れたし、面目も保たれていたのです。
 しかし、このハーデス編においては、先程も述べたように、その微妙に保たれていた
パワーバランスがもろくも崩れ去ったばかりか、ある程度の力関係まではっきりして
しまったのですから(例えば、蠍座のミロは、カノンと戦えばよくて互角と言っていた)、
正直、見たくなかったな~と思えてしまったのが残念でなりません。

 こうして、テンションが下がってしまったためか、以降の展開にも、
何ら興味も期待も持てないまま、ただただ惰性で読んでるという状況が続きました。
そしてそれは残念なことに、結局連載が終わるまで続いてしまったわけですが、
所々「おおっ!」と興味を惹かれるところもいくつかありました。

 まず、カノンが援軍で駆けつけてきて、バルログのルネを瞬殺し、ラダマンティスと
対峙したこと。
・シャカがハーデスの前に現れたこと。
・黄金聖闘士12人が全員揃ったこと。
そして最後に、海皇ポセイドンが現れたこと。
この4点でした。

 しかし、それも結果的にはドッチラケに終わってしまったのですから、やりきれません。
冥界3巨頭であるラダマンティスの強さがいよいよ明らかになるぞ、
と期待していたカノンVSラダマンティスにおいては、序盤は良かったものの、
結局のところ、カノンの方がめっさ強いことが明らかになってしまったばかりか、
他の3巨頭においても、それほどの強さではなかったことからも、期待はずれに
終わってしまいました。
 また、シャカがハーデスの前に現れた時については、
「おおっ!神に最も近い男VSほんまもんの神…これは壮絶な戦いになるぞ」
「ある意味シャカを破るヤツがいるとしたら、これはもうボスキャラしかないよな」
「しかし、シャカは消滅しても(厳密にはしてない)時空の狭間から戻ってくるようなヤツ
だからなあ~。ハーデスもそんなシャカをどうやって倒すんだろ?」
などと、例によって過剰な期待を寄せていたのですが、これもいざ蓋を開けると、
アテナがしゃしゃり出てきたため、バトルになりませんでした。
 もうね、なんじゃいそりゃ!と思いましたよ。
ドッチラケもドッチラケです。
いや、そんな生易しいものではありません。
当時の私の落胆振りと言ったら、それはもう、ドッチラケを超えたドッチラケをさらに
もう1つ超えた…くらいのドッチラケでした。

 そしてこれ以降も、ドッチラケ展開は快進撃を続け、
黄金聖闘士が全員揃った~と思ったら、嘆きの壁を破壊するための犠牲になるし、
海皇ポセイドンが現れた~
しかし、なんでまた?
まさか、アテナを倒すのはこのオレだ!だとか、地上を支配するのは私だ!
とか言って参戦してくるのか?
どうなるんだ?どうなるんだ?
と思ったら、黄金聖衣をエリュシオンに運ぶための、単なる運び屋でしかなかったし、
おまけに、届いた黄金聖衣はタナトスによって粉みじんに破壊されるしで、
なんなんだよ!
車田は何がしたいんだよ!
と思わずにはいられませんでした。

 こうして、それ以降も眠たい展開は続き、唐突に星矢の姉が現れたりしましたが、
魔鈴は結局なんだったのか?などとツッコム気力はもはやなく、
あるがままをただただ惰性で読む日々が続き、
そしてついに、長かった『聖闘士星矢』という物語も終焉を迎えたのでした。

 しかし、前述したように、結果的には打ち切りに終わってしまったのですから、
周りの評判と言うのもイマイチであり、と言うより、評判自体ないに等しいものでした。
なんせ、話題に出して、ようやく「ああっ、そう言えばやっと終わったね」だとか、
「わけ分からんかったばい」と言われる始末でしたから、
いかに当時のジャンプ読者が『聖闘士星矢』離れを起こしていたかよく分かります。

 しかし、振り返ってみると、彼らも当初は熱狂的…とまでは言えませんが、
熱心に読んでいたのです。
特に「十二宮編」なんて自分の星座の黄金聖闘士を応援したりとか、
「なんで蟹座があんなヤツなんだよ!」だとか、一喜一憂していたのです。

 それが最終的には、「やっと終わった」だの「わけ分からんかった」などと言われる
始末だったのですから、やはりそこは車田先生および編集部が道を誤ったのかな~
と思えてなりません。

 特に、私がその元凶だと思える「ポセイドン編」。
車田先生はこのシリーズに対して、「フランス映画みたいなものにしたかった」とか
おっしゃっていたような記憶があるのですが、
結局のところ、これって1人よがりだよね~と思えてなりませんでした。
また、このコメントを知った時、私は「編集部は止めろよ!」と思ったものですが、
今になっても、なんで編集部はこれを容認したのか、ほんとに不思議でなりません。
実際、「ポセイドン編」の終盤なんて、私の周囲にいた熱狂的な女性ファンですら、
「ワンパターンだよね~」とか言っていたくらいですから、
さほど評判が良かったとも思えないんですよね。
なのに、なんでアレを車田先生は強行したのか?
今でもでっかいミステリーです。

 以上のように、私は原作『聖闘士星矢』に対して、すごくがっかりしていたのですが、
前述したような最近のメディアミックス展開によって、ようやく私が待ち望んでいたもの
が形になってきたかな~と思えて嬉しい反面、なんで当時の原作でやってくれなかった
んだよ!と悔しくも思う、複雑な心境です。

 それに、車田先生もかつては黄金聖闘士の1人1人にスポットを当てた
短編みたいなもの(シャカと一輝の邂逅を描いたものみたいな感じ)を描きたかった
とおっしゃっていたような気もするので、今の幅広いメディアミックス展開は以前より
構想があったのかなあ~とも思えるわけで、良く言えば、時代がようやく車田先生に
追いついた……と言ったところなのでしょうか。
 ただ、それにしては、先生ご自身の連載『NEXT DIMENSION 冥王神話』が
全然進まないのが気になるし、最近までスーパージャンプで連載されていた
『リングにかけろ2』も、へんちくりんなラストだったことを考えると、
いささか…いや、かなり不安な気がしないでもないのですが(笑)、
とにかく、今後も車田先生には頑張って欲しいと思う、今日この頃です。

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