長編 神戸オフ会~プロローグ2~
オレは眠い目をこすりながら風呂場へと向かった。
いついかなる時であろうと、一日の始まりは沐浴し、身を清めることから始まる。
それがオレのジャスティス!
そして沐浴を終えると、オレは着替えを済ませ、荷物をまとめ始めた。
今日は日帰りだから、そんなに荷物もいらないだろう。
いや、むしろ手ぶらで行ってもいいくらいだが、道中お買い物とかするかもしれない。
そう思って、取りあえずリュックを持っていくことにした。
あらかた準備が整ったところで、時計を見ると5:15であった。
さて、そろそろ出発しないと6時の電車に間に合わない。
だがそこで、オレは急激な怠惰感に襲われた。
歩きたくねえ~。
そう、今の時間は路面電車はおろかバスだって通っていない。
ゆえに、長崎駅までは己の二本の足で進むしかないのだ。
そう覚悟を決めていたはずだったのに。
少なくとも、昨夜寝る前までは。
なのに、なぜ今は、こうも歩きたくないのだろうか?
なんともミステリー極まりないが、その原因を解明するどころか、
こともあろうに、オレは次の瞬間、タクシーを呼んでいたのであった。
それから程なくして、タクシーは私が指定した住まいの近くにあるバス停まで
エコカーかと思える程に、音もなく静かにやって来た。
そしてそれとは対照的に、運転手はやたらとオレに話しかけてきた。
「早いですねえ~。今日はどこか遠出されるんですか?」
なんでおまえにそんなこと教えなあかんねん!
オレは内心そう思ったが、それとは裏腹に「ええ、ちょっと神戸まで」
と、バカ正直に答えていた。
すると、運転手は、
「ああ、震災の……ですか?」
と、どこか控えめで遠慮がちに聞いてきたので、
いえいえ、ただの野暮用ですよ。
と、答えると、「そうですか」と言ってそれ以上は何も聞いてこなくなった。
オレは今日のオフ会を「野暮用」と言ってしまったことに、
激しく後ろめたさを覚えたが、それこそ「オフ会です」とバカ正直に答えたところで、
その運転手がはたして「オフ会」なるものを知っているのか甚だ疑問ではあるし、
知らなかった場合、それを一々説明するのも煩わしい。
ゆえに!
これでいーのだ!
オレは自分自身に必死でそう言い聞かせてはみたが、
それでもオレの心を覆っていたモヤモヤを、晴らすことは出来なかった。
つづく
【次回予告】
予定よりも早く駅に着いたことにより、J影虎は予想だにしなかった問題に直面する。
次回、J影虎、腹ごしらえをする。
腹が減っては戦は出来ぬ!
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